月山の池塘
月山8合目往復の巡礼ルートをご紹介します。
Contents
過去を巡る山 〜月山〜
出羽三山の中で最も高くそびえる月山は、
その美しい山容とともに、人々の篤い信仰の対象とされてきました。
この地に伝わる山岳信仰では、高峰には祖先の霊が宿るとされ、
月山は「祖霊の山」「過去の世界を象徴する山」として、深く崇敬されています。
八合目の一帯には 弥陀ヶ原 と呼ばれる広大な湿原が広がり、
四季折々の高山植物が咲き乱れ、
彼岸と此岸の境界線に立つかのような幻想的な空気が漂います。
周囲を包む澄んだ冷気は、山肌を覆う万年雪から流れ出すもので、
清らかな気に満ちた霊地の雰囲気を深めています。
湿原を越えた先には、
行者返しと呼ばれる急斜面が待ち受けており、
そこからさらに山頂を目指して歩を進めます。
ようやくたどり着く山頂には、
夜と再生を司る神・月読命を祀る月山神社本宮が鎮座しています。
ここでの祈りは、現世から離れ、心が凪いでゆくようなご神域の中で、
祖霊の安寧と魂の再生を願うものです。
天候や光の巡りによっては、
雲海に包まれた山頂に光の輪が現れることがあり、
それを仏の来迎と捉える人もいます。
このような神秘に出会うとき、
月山への信仰は、より深い実感として心に刻まれることでしょう。
月山八合目へのアクセス
真田延命院から月山八合目までの交通手段です。
車
車の場合、真田延命院から月山八合目駐車場までは、ゆとりをもち 30〜40分 ほど。
手向の宿坊街から月山公園線を登ると、標高1400mの月山八合目に到着します。
① 冬期間(例年11月~翌春)は閉鎖されるため、県道211号月山公園線 の通行期間の確認が必要です。
② 月山公園線は、特に7月から9月の夏山シーズンの土日祝日には大変混雑します。
③ 駐車場は、登山口すぐの便利な立地ですが、混雑時は時間帯により 満車 になることもあります。
④ 余裕を持って早朝(5:00〜6:00)に出発されることをお勧めしております。
公共交通機関(バス)-期間限定-
真田延命院からご出発の場合、最寄りのバス停は「桜小路」です。
庄内交通の路線バスにて「桜小路」から「月山八合目」まで 約 80 分 ( 1日4便)。
① 真田延命院から「桜小路」までは 徒歩 2 分 。
② 月山八合目行きのバスは、7~9月の期間限定で運行されます。
③ 運行日が限られるため必ず事前に確認することをお勧めします。
④ 下山後の帰りの運行時間も確認の上、ご計画ください。
⑤ 運行時期・時刻表は庄内交通の下記公式サイトにて最新情報をご確認ください。
庄内交通 | 羽黒・月山線 |
まとめ
真田延命院から月山への行き方のまとめです。
ルート | 所要時間 | 注意点 |
車 | 約40分 | 土日祝日混雑・早朝出発推奨・道路の冬季閉鎖 |
バス | 約80分 | 桜小路バス停 運行日・帰り時刻要確認 |
*月山往復の場合 真田延命院からの出発は早朝(5:00〜6:00)がおすすめです。 |
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雨の日の木道と小さな先達
月山巡礼・登山のご案内
登山口・八合目周辺
八合目にはレストハウスやトイレが完備されており、登山装備の最終チェックや休憩に利用できます。
そこから10分ほど木道を歩くと御田原神社と御田原参籠所に至ります。
登山口から徒歩約10分、御田原神社は月山登拝の無事を祈る場として、多くの参拝者を迎えています。
また、山頂に鎮座する本宮への遥拝所としても親しまれており、御山を仰ぎつつ、心を静めることができます。隣接する参籠所は、かつて修験者が身を清め、祈りを捧げた場所であり、
今もなお巡礼者の信仰の場として、深い清浄さをたたえています。

極楽浄土を思わせる風景の中、植物が季のうつろいを映します。
八合目駐車場からすぐ近くに、高山植物が豊富な弥陀ヶ原湿原が広がっています。
湿原では、整備された木道を巡ることで、自然の息吹にふれることができ、
御田原神社より月山本宮を遥拝することができます。
一周約60分の散策路では、高山植物が四季折々の姿を見せ、ゆるやかな時間の中で、
命の循環と大いなる自然の恵みを感じるひとときをお過ごしいただけます。
足をとめながら丁寧に歩めば、2時間ほどの巡りもまた心を整える道となるでしょう。
\弥陀ヶ原湿原についての詳しい詳細は下記/
登拝の装備と服装について
装備
1 | 登山靴、防寒具、レインウェアなど基本的な登山装備が必要です。 |
2 | 木道は滑りやすいため、スニーカーやトレッキングシューズの着用が推奨されます。 |
3 | アクシデントに備えて食料や水・現金も必ず携行しましょう。 |
4 | 木道での傘の使用は禁止されています。夏でも天候が急変しやすいため、レインウェアやタオルなどを準備して下さい。 |
登山道の特徴と自然環境
八合目からの登山道は以下のような特徴があります
1 | 登山道序盤は石畳や木道が整備されており、途中から土・岩の道になりますが、全体的にしっかりと整備されているため歩きやすい道となっています。 |
2 | 全体的に岩場の道ですが、距離の割には登りがきつくないため、多くの登山者に利用されています。 |
3 | 高山植物も多彩で、特に6月から8月の開花シーズンには様々な高山植物を観察できます。 |
4 | 「行者返し」と呼ばれる急登があり、修験の厳しさを象徴する難所とされています。月山登山道の終盤に現れるこの場所は、約30メートルほどの急斜面で、積み重なった岩場を全身を使って登る必要があります。 |
月山登山を支える拠点
月山の厳しい自然の中で参拝を支えてきた佛生池小屋と月山頂上小屋。この貴重な山小屋は、長い歴史の中で修験者や登拝者の命を守り、祈りの道をつないできました。
現在も月山を訪れる人々の心と身体を支える拠点として、大切な役割を担われています。
佛生池小屋
月山九合目には、真名井神社と佛生池小屋があります。
佛生池小屋は、登山や巡礼の途中に立ち寄れる休憩及び宿泊施設として利用されており、
体を休めながら、この地ならではの美しい自然や信仰の空気にふれることができます。
近くにある佛生池は、修験の行程において“特別な水”を象徴するとされる場所で、
静かに祈りを捧げる白装束の行者の姿も見られます。
池のほとりにはお地蔵さまが並び、歩みを進める人々を見守るように佇んでいます。
月山頂上小屋
月山頂上小屋は、出羽三山信仰における巡礼の終着点・月山山頂に位置し、
月山神社本宮への参拝やご来光・星空・雲海の拝観を志す修験者や参拝者にとって、宿泊や休息のための
貴重な拠点です。標高1984メートル、八合目や九合目からの長い登山を経てたどり着くこの地で、
澄んだ空気とともに、月山ならではの絶景に包まれながら壮大な景色の中で過ごすひとときは、訪れる人々の記憶に残る時間となでしょう。
所要時間と行程例
月山八合目から山頂までは、標準的な体力の方が一般的なペースで進んだ場合、
登山の片道には約2時間30分から3時間といわれます。
参拝の時間を含めると、全体の行程にゆとりを持たれることをおすすめします。
下記は行程の一例です
月山参拝(八合目往復)
所要:約8時間
うち参拝・休憩:約2時間20分
登山時間:約5時間40分
《行程の一例》
- 6:00八合目登山口
- 6:20-6:30 御田原神社(参拝10分)
- 6:45無量坂
- 7:30一ノ岳
- 7:45-8:15佛生池小屋(参拝+休憩30分)
- 8:45行者返し
- 9:15大峰
- 9:45-10:15 月山神社本宮(参拝30分)
- 10:20-11:00月山山頂小屋(休憩40分)
- 11:30大峰
- 11:45行者返し
- 12:00-12:30佛生池小屋(休憩30分)
- 13:00一ノ岳
- 13:40無量坂
- 14:00八合目登山口
*上記はあくまで目安であり、参拝や休憩時間、体力やペースによって所要時間は前後します。
*登山道の状況や天候によっては、さらに時間を要する場合があります。
*時間にゆとりを持ち、無理のない歩みで月山の巡礼路をたどりながら、心の深まりを感じていただければ幸いです。
巡礼をされる皆さまへ
月山は、長い時の流れの中で人々の祈りを受けとめてきた、霊性と自然が共鳴する山です。
一歩ごとに移ろう景色、植物たちのいのちの気配、山そのものに宿る、神霊への敬意——それらすべてが、この山を「生まれかわりの道」として歩む意味を示してくれます。
どうぞ、ご自身の心と体の声に耳を澄ませながら、無理のない歩みでこの巡礼路をお進みください。天候や自然環境の変化に備えつつ、道中で出会うすべての存在に敬意をもって接していただければ幸いです。
この道が、皆さまにとって貴重なひとときとなりますよう、心より願っております。
宿坊 真田延命院
手向は古より白装束の参拝者が往来する宿坊街です。
宿坊では参詣される方々へ遠方からご来山される道中の苦労をねぎらい、
出羽三山詣へ真摯に向かうお姿に敬意をこめ、手厚くおもてなしを行なって参りました。
真田延命院もまた、夏山の季節は、白衣を纏い、お注連をかけ、
三山へお山駆けを行う講の方々で賑わいますが、一般のお客様もご宿泊頂いております。
代々出羽三山詣の講をお支えしてきた経験を活かし、宿坊として登山やご参拝についてもご相談を賜ります。
出羽三山詣の宿
宿坊 真田延命院
出羽三山を巡る行は
身体を通して
精神に優しく呼応します
古より受け継がれてきた教えにも
山々での歩みの中にも
日々の暮らしにはない
気づきがあります
ほんのひとときでも
出羽三山に身を置くことで
祖先や家族を想い
自分自身と向き合うことのできる
大切な時間となりますように



sanadaenmeiin.jp